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Highway Blossoms レビュー

Highway Blossoms 85
あなたはこんなゲームが存在したとしたらどう思うだろうか。
「舞台はアメリカ南西部、とある事情により埋蔵金の隠し場所を示した日記が発見され、アメリカはその話題でもちきりだった。そんな中ふたりの少女AmberとMarinaが偶然出会い、アメリカ南西部に散らばる宝(何故か実在の観光名所にばかりある)を求めて、RVで西へ東へ旅をすることになる。ふたりは旅の道中で少しずつ心を通わせ、恋に落ちていく、そんなロードムービー的百合物語を素晴らしく(アメリカ的に)ノスタルジックなBGMと、観光名所を描いた美しい背景が彩った名作ビジュアルノベル。Hシーンもあるよ」

妄想乙と言われそうだが、これは存在します。ただしシナリオは全編英語です。
そのタイトルは"Highway Blossoms"steamでたった980円で発売中である。僕はこのゲームが大好きで、ぜひ皆さんにもプレイして欲しいのだが、英語はハードルが高いだろうか。僕の英語力はTOEICの点数で言えば800点くらいで、公式によれば職場の同僚の英語の議論を理解できるくらいらしいが、その程度では英会話は片言でしかできないし、洋画を字幕無しで見るのも無理な中途半端なところである。それでもこのゲームは辞書を使いながらだいたい読めたので、英語がそこそこできる人は、百合好きでなくとも是非プレイしてみてほしい。百合が好きで英語ができない人は......英語を勉強してでもプレイしよう。

最初に書いた概要だけでも楽しそうなゲームだが、実際にやってみると12時間もの時間(英語力が低い僕の場合)をAmberとMarinaと一緒に旅することになるので、このふたりが凄く好きになる。Amberは現実主義者で旅慣れていてかっこよくて頭がいい、Marinaはややお花畑で生まれてこの方自分の州から出たこともなく可愛くておバカ、そんな正反対のふたりのコンビは王道で、会話も軽妙でおもしろい。僕の好きな会話シーンの例を挙げよう。

ファミレスに行くシーンにて、視点はAmber、口調を考えるのが難しいので会話は訳さないが、地の文はクソ訳をしてみた。Marinaはファミレスによくある子供用の塗り絵をしてあきれられている(彼女達は18歳かそこら)。この時点ではふたりは恋人でもなんでもない。

ウェイトレス「お飲み物はいかがですか?」
Marina "I'll have some chocolate milk ,please!"
彼女のすでに疑問が持たれている成熟性は、さらに一撃を受けた。クレヨンを手に持っている状況では、彼女はこれ以上耐えられるだろうかと思った(直訳)/ こいつ子供っぽいなあ(意訳)
ウェイトレス「そちらはいかがですか?」
Amber "Just coffee. No cream or sugar."
ウェイトレス「わかりました」
彼女が去ってから、私はMarinaを足で突いた。
Amber "Chocolate milk? Seriously? Are you eight?"
Marinaは私の声をまねして、肩をゆらしながら答えた
Marina "Black Coffee? Seriously? Are you forty?"
Amber "Hey now, I like the taste of coffee itself."
Marina "And, I like the taste of milk itself! Just with chocolate."
Amber "You're a dork."(Amber の口癖 dorkはばかの意味で、おばかさんのようなニュアンスか)
Marina "But you love me~." (元ネタになる歌があるのかも?)
彼女は歌うように答えた。真剣でないことはわかっていたが、その言葉は私ののどにちいさな塊を作った。私はそれを飲み込み、何も感じていないように装った。
(中略 ウェイトレスが戻ってくる)
ウェイトレス「注文はお決まりですか」
Marina "Um, I'll have the chocolate chip pancake platter with scramble egg"
ウェイトレス「キッズサイズですか、それともレギュラーサイズですか?」
私は笑って飲み物で喉を詰まらせた。そしてMarinaの足に強く蹴られるのを感じた。
(中略 Marinaが平静を装ってレギュラーに決める、ウェイトレスが去る)
Marina "Rude! Rude,rude,rude!"(蹴りながら)
Amber "C'mon, you were asking for it with the food and milk. The waitress asking that was just icing on the cake. The pancake."
Marina "It's not my fault that you sophisticated adults don't appreciate chocolate like I do."

このあとMarinaに「お前チョコミルク実際に飲んだことあんのかよ」と突っ込まれて、無いよって答えたら
"Amber,Amber, you poor, poor thing."って本気で言われて、チョコミルクを飲むことになり、間接キスを気にしながら飲んだら......そしてネタバレはしないがユーモラスなオチに繋がるのだった。
もうこの会話大好き。最初の皮肉調な地の文で既に面白いし、AmberがからかってMarinaが可愛い反応を見せつつ反撃するっていう王道パターンは素晴らしいし、テーブルの下で足で蹴りあうという定番のイチャイチャもいいし、冗談で愛してるだろと言われてドキドキするAmberもなんだかんだ可愛いし、最後のオチも笑える。
こんな感じで本編が進むので会話を見てるだけで楽しいし、このふたりを好きになってしまうよ。特にMarinaは可愛くて、明るくて、Amber曰く「Marinaの近くで悲しい気分を維持することは難しい」とのこと。好きです。

そしてそんな二人の旅を見ているのだから楽しくないわけがない。ふたりが行くのはアメリカ南西部の観光地、例えば、グランドキャニオンとかザイオン国立公園みたいな絶景観光地を美しい背景で描いたり、ラスベガス行ってビュッフェで食べたり、いろいろと観光を楽しむ。開発スタッフが地元の人間のようで、テキストのディティールも正しいらしい。僕は聖地巡礼とか興味がないタイプだが、この作品をやると実際にアメリカに行きたくなった。まあ元々観光地として魅力のある場所だから当たり前かもしれないが。

シナリオについてもう少し言及すると、基本的にはコメディテイストだが、実はところどころ結構シリアスな話でもある。主人公のAmberが実はけっこう重い過去を背負っていて、作中ところどころ情緒不安定になったりする。そして終盤に爆発して、最悪のエロゲ主人公みたいな行動をとってしまう。ここらへんのシリアスは賛否両論だろうが、僕はそんなに嫌いじゃない。第一にAmberの過去は作中全体に渡って描写されていて、あの行動に至る説得力もあること。第二に、エロゲで男主人公がクズ行動するとムカつくが、女の子ならまあ許してもいいかなという気になる。第三に、Amberがクズ行動する理屈自体は作中で否定されない。まあ、「お前は間違っている」と言われるし、常識的にもAmberの理屈はどうなのかと思うんだけど、それでもAmberは自分の理屈を捨てないで、最も良いけど凄く辛い選択をする。そしてそれはMarinaを愛しているからである。だからこれは過去を乗り越える話じゃなくて、過去を超える程の愛を描いた話なのだ。もちろん最後にはああなるからってこれはネタバレですね。
まあシリアスの話はこれくらいにして、全体的にBGMも相まってセンチメンタルな良い話だと思うし、ラストは感動した。初めて出会ってからAmberとMarinaの関係が深まっていくのも楽しい会話と通じてうまく描けている。

まとめると、素晴らしい背景とBGMを備えた、最高の百合ロードビジュアルノベル。魅力的なふたりによって織りなされる、百合と旅の物語は、百合好きなら是非プレイするべき逸品である。日本語がないのが残念だが、是非プレイしてみてほしい。できれば布教のためにも、公式日本語が欲しいところだが、Hardcore Gamerはこのゲームのレビューで以下のようなことを書いていたりする。(ここから余談)


There’s also a really distinct sense of style from the writer which is able to shine through in part because no translation work needed to be done. There’s always a fear with translated visual novels that something is lost in the process of localization, but that’s not the case for original English works! The writing is a great asset as it carries the tale and definitely makes Highway Blossoms stand out as a more believable yuri tale than most.


http://www.hardcoregamer.com/2016/06/30/review-highway-blossoms/214943/

ライターのセンスは明白で、それは翻訳の必要がないからだ。VNを翻訳することは、いつもローカライゼーションの過程で何かを失ってしまう恐れがあるが、もちろんこの作品は元々英語なのでその恐れはない。ライティングは"Highway Blossoms"を最も信頼できる百合物語として目立たせている、大きな強みだ。(クソ訳)

つまり英語の作品は英語でやるのが一番ってことだ。現在steamには "A Little Lily Princess"や"Starlight Vega"といった英語の素晴らしい百合作品が販売されており(僕は後者は未プレイだが)、また海外の百合ファンの熱心さからいっても更に多くの名作が現れてくることが予想される。つまり、これからの時代百合好きは英語が必須スキルになってくるかもしれないからがんばれ。何年後かわからないが、人口的には中国語も必要になってくるのかも。
英語を勉強したくない人はパブリッシャーのSekai Projectに土下座すれば日本語ローカライズも出してくれるかもしれない。その日本語が「殺せ、ロシア人だ」化してしまうかもしれないが。実際僕もこの記事書いていてAmberの口調はどうすればいいんだろう、一人称は私か?俺か?あたいか?拙僧か?と迷って結局私にしたが、会話は訳さなかったりしたし、本作のくだらないだじゃれの数々も訳し難いものである。dikeとdykeとかpickup truckとか。そんなわけで原文を読んだほうがベターだとは思う。
逆に海外の人たちは日本のエロゲのローカライズをまともな質で楽しめているのだろうかと疑問に思ったりもする。エロゲメーカーにまともなローカライズする金があるとは思いない。僕がこのゲームをプレイするきっかけになったのは、Yuri Nation のこの記事で、https://yurination.wordpress.com/2017/01/04/ogs-top-8-favorite-visualkinetic-novels-of-2016/ このTop8の半分が日本ゲームになってるあたり百合ジャンルは大丈夫なのだろう。clannadの英語版とか一人で訳してると死にそうだが大丈夫なのだろうか。

余談で収まりが悪くなってしまったが、これでこの記事は終わりです。この記事ではこの作品の素晴らしさを伝えきれていないので、今回引用したサイトさんの素晴らしいレビュー達もチェックしてみてほしいですね。

ここからは私事ですが、最近はエロスケにレビューを投稿していて、(銀色遥かを未クリアにも関わらず叩いた挙句、何故か投票を2票もらったりしたのは僕の仕業です)ブログを放置していましたが、次の記事は一年以内には書きたいと思います。おすすめのイチャラブゲーを50個簡単に紹介する記事を書く予定です。ちなみに今43個目のゲームをやってます。あと7個良作イチャラブゲーをやるのに何ヶ月かかるだろうか......。

今回はエロスケに英語のゲームを登録するのもどうかと思ってブログにレビューを上げましたが、今後はエロスケにレビューを上げて行きたいと思います。だって投票されると自己顕示欲が満たされるんだもん
いや実際モチベーションは大事ですよ。レビューを書いてなんの反応もないと壁にでも話してる気分になりますからね。
エロスケのIDは「イチャラブしたい」です。こちらでもよろしくお願いします。
http://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/user_infomation.php?user=%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%96%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84
銀色遥かのレビュー......いや愚痴は一度エロスケで投票されてみたいという思いがあり、実はそれを狙って投稿したもので、狙い通りもらえてよかったですね。
その後エデンズリッターでまともなレビューを書いて投票をもらえたのも嬉しかったです。
今は抜きゲーのレビューばかりですが、これからはこのIDでイチャラブゲーのレビューを増やしていきたいですね